うつ病が、管理人をのみこんでいくその時。 うつ病体験談 P2

これは、管理人「こころ」のうつ病体験談、パート2です。

ここでは、うつ病の症状が出はじめて、クリニックを受診した様子を書いています。

はじめてうつの症状がでる

私は、兄弟を心配する気持ちなど、慢性的なストレスはありましたが、プライベートでは、結婚をしたり、仕事もやりがいがあり、それなりに充実した生活を送っているつもりでした。

ただ、今思えば、自傷行為をくりかえす人格障害の利用者さんの対応や、結婚という環境の変化なども、自覚のない負荷として自分にのしかかっていたのかもしれません。

調子の悪い利用者さんと自分の姉を重ねてみたり、この頃の自分は、やはりいつもと違っていたのだと思います。

止まらない吐き気

平成21年9月8日、私は仕事での会議中に、なんだか吐き気を感じ退席しました。

慢性的なストレスを抱えていたという自覚はありましたので、「自分も発症したのか?」とチラッと思いましたが、タバコや酒など不摂生がたたったとも思われ、ひとまず内科を受診しました。

内科医の診断は、感染性胃腸炎とのことで、吐き気止めのドンペリドン(ナウゼリン)という薬を処方してくれました。

ドンペリドンとは、食べ物が胃から腸へスムーズに送られるようにしたり、脳の嘔吐中枢に働きかけて、吐き気を止める薬です。

しかし、薬をのんでも吐き気は治まらないため、仕事を3日間お休みしました。

休み明け、吐き気は治まりませんでしたが、実際に吐いてしまうことはないため、仕事に行っていました。

心の症状も出始める

さらに1週間以上経過したころ、胸を締め付けられるような感覚や、そわそわと落ち着かない症状が出てきました。

時折めまいがしたり、息苦しいような症状もありました。寝つきも悪いし、吐き気で食欲もありません。

仕事でも、人の話を集中して聞くことができず、文章を読んでも、いつもより頭が働きません。

自分の中では、いつもの6割ぐらいしか仕事ができないと感じていました。

「これは単なる胃炎じゃない…」「精神的な病気だ」と直感でそう感じました。

吐き気だけじゃなく、だんだんと心の症状も出てきたんだね。
こころ
そうなんだよ。
どれも初めての感覚だったけど、「あーこれが焦燥感ってやつだな」とか、「これは浮遊性めまいだな」とか、症状の1つ1つに、その専門用語が思い浮かんだりして、こんな時でも自分は、冷静に客観視するんだなと感じたのを覚えてるなー。

心療内科を受診する

平成21年9月20日、私は、心療内科を受診しました。一番はじめに吐き気の症状が出てから約2週間後になります。

メンタル科を受診するのは始めての体験でしたが、早期治療が大切であることは理解していましたので、ためらわずに受診しました。

医師に経過を話したところ、「まだ、うつ病とまではいかないが、うつの一歩手前の状態でしょう」と説明があり、以下の薬が処方されました。

薬の名前 1日の量 薬の種類
ドグマチール 100mg 消化管薬等
レンドルミン 0.25mg 睡眠薬
デパス(頓服) 0.5mg 抗不安薬
  • ドグマチール
    元々は食欲増進や吐き気など、胃腸の働きを良くする薬。
    効果出現が早く、少量だとドパミンを増やすので抗うつ効果がある。
    強さは穏やかで、薬8時間ぐらい効果が持続する薬。
  • レンドルミン
    ベンゾジアゼピン系の睡眠薬。
    強さは普通ぐらいで、約7時間ぐらい効果が持続する薬。
  • デパス
    チエノジアゼピン系の抗不安薬。
    強さは強めで、約6時間ぐらい効果が持続する薬。
いろいろ症状がでているのに、うつ病とはいえないの?
こころ
そうだね。
不眠や焦燥感などの症状が出てからは、まだ1週間しかたってないので、この段階ではうつ病ではなく、「うつ状態」としかいえないね。
「うつ病」と「うつ状態」って違うものなの?
こころ
うつ状態っていうのは、あくまでその時の状態をさす言葉で、いわゆる病名ではないんだ。
まだいろんな病名の可能性があるけど、とりあえず、ゆううつな感じであることは間違いない。そんなときに使われる言葉だね。

本格的にうつ病を発症し、抗うつ剤を飲み始める。

ドグマチールが効いたようで、少し食欲が出てきました。落ち着かない感じや、息苦しさなどの症状も改善してきました。

初診から1週間後の再診では、現状の薬で改善が見られるので、このままの薬で様子をみるか、あるいは抗うつ剤を追加するか、医師は迷っていました。

トレドミンを試す

抗うつ剤の処方を医師は迷っていましたが、私は、抗うつ剤は効き始めるのに時間がかかるので、できるだけ早めに飲んでおきたいと希望を伝え、トレドミンという抗うつ剤を処方してもらいました。

SNRIという部類の抗うつ剤で、脳のノルアドレナリンやセロトニンなどを増やす働きがある薬です。
ノルアドレナリンは、意欲に関する神経伝達物質で、これが少なくなると、やる気がでなくなるのですが、SNRIは、セロトニンよりもノルアドレナリンを増やす効果が高い抗うつ剤です。
薬の名前 1日量 薬の種類
ドグマチール 100mg 消化管薬等
レンドルミン 0.25mg 睡眠薬
トレドミン 50mg 抗うつ薬
デパス(頓服) 0.5mg 抗不安薬
抗うつ薬って、できるだけ早く飲んだ方がいいものなの?
こころ
うーん…。
前の薬で効果が出ていたし、今思うと、まだ本格的な抗うつ剤を飲まずに、ドグマチールを少し増やして経過を見てる程度でも良かったかなって思うね。
この時の私は、仕事に支障をきたしたくないと、すごく焦っていたんだよね。

リフレックスを試す

抗うつ剤の「トレドミン」が処方されてから、頻脈、動悸、頭痛、目のかすみなどが出るようになりました。
さらには、頻尿や、性機能障害(たたない…。)もありました。副作用です。

2週間後の再診

医師にトレドミンの副作用を話し、トレドミンは中止になりました。

ちょうどその頃、リフレックスという抗うつ剤が日本でも使用できるようになったため、15mgから試してみることになりました。

NaSSAという種類の抗うつ剤で、他の抗うつ剤とはちがったプロセスで効果を発揮するような薬。
眠気の副作用が出やすいが、逆に安眠に効果的だったり、やる気を出すノルアドレナリンも増やす効果がある。
薬の名前 1日の量 薬の種類
ドグマチール 100mg 消化管薬等
レンドルミン 0.25mg 睡眠薬
リフレックス 15mg 抗うつ薬
デパス(頓服) 0.5mg 抗不安薬

2週間後の再診

リフレックスを服用するようになって、気分や意欲は改善傾向にありました。7割ぐらいは回復したような感覚であり、眠気以外の副作用もなかったため、リフレックスを30mgに増量して様子を見ることになりました。

薬の名前 1日量 薬の種類
ドグマチール 100mg 消化管薬等
レンドルミン 0.25mg 睡眠薬
リフレックス 30mg 抗うつ薬
デパス(頓服) 0.5mg 抗不安薬

アンプリットを試す

リフレックスを30mgに増量してから、朝早くに目が覚める症状はなくなったのですが、眠気、脱力感、頻脈等の副作用が強く出てしまいました。

2週間後の再診

結局リフレックスも中止になり、かわりにアンプリットという抗うつ剤を希望して、処方してもらいました。初診時からのんでいたドグマチールは、もうほとんど抗うつ効果の役目を終えたということで、中止になりました。

このころには、抑うつ感はそれほど強くはなかったのですが、とにかく意欲低下が激しく、本格的にうつ病を発症した時期だと思います。

意欲低下が主だったため、抗うつ剤は、意欲低下を改善させる力が強い、ノルアドレナリンに作用する薬を中心に、医師と相談していました。

三環系という種類の抗うつ薬。三環系は効果も強いが、副作用も強い薬。
その中でもアンプリットは、比較的、副作用が少ない。
薬の名前 1日量 薬の種類
レンドルミン 0.25mg 睡眠薬
アンプリット 50mg 抗うつ薬
デパス(頓服) 0.5mg 抗不安薬
診察では、自分から出してもらいたい薬を言ってたの?
こころ
先生は、私が精神保健福祉士で、薬の知識もあることを知っていたから、一緒に相談していた形だね。
一般の方なら、薬を指定するのではなくて、症状をより正確に伝えることの方が重要だよ。
今回の診察の受け方は、ちょっと例外かな。

まとめ

今回のお話はここまでです。本格的にうつ病を発症し、抗うつ剤を服用するようになった話でした。
次回、うつ病体験談、パート3では、うつ病で一番つらかった時期の経過です。