うつ病の本質とは?想像を絶する感覚。 うつ病体験談 P3

これは、管理人「こころ」のうつ病体験談パート3です。パート3では、一番辛かった時期の経過を書いています。

ほとんどの時間をベッドで過ごし、毎日をやり過ごしていた時期のことは、今でもはっきりと覚えています。

結果的には、うつ病は完治し、闘病は一生の内のほんのわずかな時間でしたが、それでも今も、トラウマのような体験として残っています。

うつ病で休職する

リフレックスのかわりにアンプリット50mgでスタートし、しばらくすると抑うつ感や意欲低下が悪化していきました。

仕事は続けていたのですが、少しのストレスでも過剰に反応するような感覚があり、やはりリフレックスはそれなりに効いていたんだなと思いましたが、ひとまずアンプリットを増量してどうなるかを見てみる必要がありました。

リフレックスに戻す

50mgからスタートしたアンプリットを2週間後に100mgにし、さらに1週間後に150mgに増量しました。

薬の名前 1日量 薬の種類
レンドルミン 0.25mg 睡眠薬
アンプリット 150mg 抗うつ薬
デパス(頓服) 0.5mg 抗不安薬

1週間後の再診

アンプリット150mgで1週間様子を見ましたが、効果がなく、さらには自責感の症状も新たに出てくるようになりました。

そのため、副作用が出ることはわかっていましたが、ひとまず経過の良かったリフレックスに戻して、体制をたてなおすことになりました。

この段階で、仕事は休職することを決めました。一番初めに吐き気の症状が出てから、3ヶ月が経過した時期です。

1週間後の再診

リフレックスを30mgに増量します。

薬の名前 1日量 薬の種類
レンドルミン 0.25mg 睡眠薬
リフレックス 30mg 抗うつ薬
デパス(頓服) 0.5mg 抗不安薬

 

仕事はお休みすることになったんだね。
こころ
うん。周りから見れば、ふつうに仕事できてるように見えると言われていたけど、自分の中ではいつもの7割ぐらいしかできないという感覚があったな。
なんか本調子じゃなくて、このままだと、うつ病がだらだら長引いてしまうと思い、早めに休むことを決めたんだ。
休職して、ストレスも減ったかな?
こころ
そうだね。仕事上のストレスはなくなったし、家族に対しても「今は人の支援ができる状態じゃないので、電話などをしないでほしい」とはっきりと伝え、プライベートでのストレスもなくしていったんだ。

1週間後の再診

リフレックス30mgでは、やはり眠気や動悸の副作用が強く出てしまうため、15mgに減量しました。
薬の名前 1日量 薬の種類
レンドルミン 0.25mg 睡眠薬
リフレックス 15mg 抗うつ薬
デパス(頓服) 0.5mg 抗不安薬

休職してうつ病が良くなると思いきや、症状はしだいに悪化していきました。テレビを見てもおもしろいと感じず、むしろ不快に感じました。

ゆいいつ、NHKのニュースなら、少しだけ見られました。あの変化のない一定な口調が心地よいと感じました。

休職したら、逆にわるくなっちゃったの?
そんなことってあるの?
こころ
入院でも良くあることなんだけど、気をはっていた状況から、「安心して悪くなれる」環境に身をおくことで、一時的に病状が悪化したように見えることがあるんだ。
だけどそれは、すっきりと治るためには必要な時間だと思うな。
こころ
風邪とかもそうだけど、一回、底辺まで悪くなって、そこから治っていくよね。
逆に、そこまで行かないと、軽症なんだけどいつまでもだらだらと、風邪が長引いてしまうみたいな…。
なるほどね。
悪い時期も、良くなるためには必要な時間なんだね。
こころ
そのとおり。
だけどその時は、そんな風に前向きには捉えられないんだけどね…。
ちなみにこの頃の、私の「ハミルトンうつ病評価尺度」は24点であり、最重症でした。
 イギリスのマックスハミルトンが開発した、うつ病の程度を評価する指標。睡眠を重視し、逆に希死念慮については軽視しているような傾向がある。7点までが正常、13点までが軽症、18点までが中等症、22点までが重度、23点以上は最重症になる。
評価尺度かぁ。
点数になると、わかりやすいね。
こころ
基本的にこれは、治療者が面接して点数をつけるものなんだけど、ひとつの目安として自分でやってみるのもいいと思うよ。その後の経過の中でも、時々やってみると今と昔と状態が比較できる。
大切なのは、同じ尺度、同じ基準、でつけることだね。

 ルボックスを試す

リフレックスを15mgに減量しましたが、眠気の副作用がかなり強く、1日15時間以上も寝てしまい、起きている時間のほうが少ない状態でした。

これでは、普通の生活ができないため、結局リフレックスも中止になります。

かわりにルボックスを試してみることになりました。
SSRIという種類の抗うつ剤で、150mgまで増量できる。
SSRI全般に言えるが、吐き気の副作用が出やすい。
薬の名前 1日量 薬の種類
レンドルミン 0.25mg 睡眠薬
ルボックス 50mg 抗うつ薬
デパス(頓服) 0.5mg 抗不安薬

1週間後の再診

リフレックスをやめたことで日中の眠気がなくなり、起きている時間が増えるようになりました。

ここでルボックスを最高量の150mgまで増やし、3週間様子をみることとしました。

薬の名前 1日量 薬の種類
レンドルミン 0.25mg 睡眠薬
ルボックス 150mg 抗うつ薬
デパス(頓服) 0.5mg 抗不安薬

うつ病の症状が一番つらい時期

この頃は、なかなか治らないうつ病に対し、かなり悲観的になっていました。「このままずっと治らないのでは」とも感じ、毎日、ベッドから天井だけを見て過ごしていました。

朝がくると「早く夜がこないかな」と思い、夜が来ると「早く朝がこないかな」「早く1日が終わらないかな」と思っていました。

毎日そのくりかえしです。

自分の場合は抑うつ感が強いというより、意欲低下のほうが激しく、何もする気が起きないという症状でした。

それは通常のそれとは、まったく質的に違うもので、トイレに行くのもおっくうだったり、焼き魚にしょう油をかけるのが面倒で、30分ぐらい止まってしまうこともありました。

入浴はもともと好きでしたが、うつ病になってからは、お風呂に入ることが何かとても壮大なことのように感じられ、入浴するという行為にかなりの決心がいりました。

それこそ大統領に立候補するようなことにすら感じます(大きさの例えです)。

入浴すら毎日できない自分に、何の価値もないと感じました。明確な希死念慮こそ出なかったものの、かつて教科書で読んだ症状のほとんどが、自分にのしかかり、うつ病はこんなに辛いものなんだと実感していました。

病気こそ違いますが、あの時あの利用者さんも、こんな感じだったのかなとか、職場に行けずに引き返してくる利用者さんの焦燥感も、こんな感じなのかなと、毎日考えたりしていました。

 

うつ病って、本当につらいんだね。
こころ
そうだね。
出口のない真っ暗なトンネルの中に、毎日一人でいるような、なんて言ったらいいか、言葉では言い表せないような感覚なんだ。とにかく辛いんだよな。
このようにつらい状況の中でも、なんとか傷病手当金の申請をしました。
仕事以外の理由(業務内は労災)で病気になったりケガをした時、4日以上、仕事を休んだ場合に、給与の3分の2程度が支給される給付。
最長で1年6か月間、支給可能(1年半後は、対象になれば障害年金の受給が可能)。

まとめ

いかがでしたか。上記が、うつの一番つらい時の経過です。

文章にしてみると、なんてことないようにも思えますが、実際はこんなもんじゃないんです…。

今、闘病中でこれを見て下さっている方は、うつ病の辛さの本質を理解できるかと思います。

次回パート4は、あるきっかけによりうつ病が回復していく経過です。