今回でうつ病体験談も最終話です。
最終話は、うつ病の回復途中での復職の様子や、完全に薬をなくすための減薬の様子等を書いています。
仕事に復帰し、働けることのすばらしさを実感する。
前回は、睡眠薬をだんだん減らした様子をのせました。
この時の処方内容は以下の通りです。眠剤や頓服がなくなり、抗うつ剤のみの、すっきりとした処方となりました。
薬の名前 | 1日量 | 薬の種類 |
---|---|---|
ノリトレン | 75mg | 抗うつ薬 |
毎日よく眠れるし、気分も悪くありません。
家の中で、ちょっと掃除や洗濯をしたり、スーパーに買い物に出て簡単な調理をしたりして過ごし、前のように毎日ベッドから天井だけ見ている過ごし方からは一変しました。
病気になる前の活動量から言えば、まだまだ少ないですが、充電期間として、休み休みゆっくりとした時間の使い方をしていました。
職場復帰の調整をする
私の職場は、精神科病院や、そこに付属する施設等でしたので、職場には精神科医がたくさんいます。
そのため、休職中も月に1度、電話にて職場の精神科医(産業医)と、病状の報告や、復帰の時期等の相談をしていました。
経過が良いため、休職して2ヶ月半が経過した段階で、一度、復帰することに決まったのですが、復帰前1週間になると、やはりいろいろなことを考えてしまい、一時的に不調になってしまいました。
ただ、今無理をすると、本格的にぶりかえして、うつ病がよけい長引くと感じたので、復帰を1ヶ月のばしたんだ。
職場に復帰する
結局、仕事は3ヶ月半ぐらい休んだことになります。
勤務時間と日数は今まで通りですが、はじめの内は、夜勤や宿直をせず日勤だけの勤務としました。
私の職場では、みんな以前と何も変わらずに接してくれたので、それがとても心地よかったな。
変に気を使われると、逆に申し訳なくて、疲れてしまうからね。
頑張った結果、うつ病になる人が多いから、さらに頑張らせないように、という配慮からの考えなんだけど、個人的には、別に言っちゃいけない言葉なんてないし(常識的な範囲で)、いつも通りでいいと思うよ。
仕事の上でも、ここまでの仕事はできるが、この先はまだ若干きついとか、伝えることが大切だね。
復帰後2ヶ月で少し疲れが出る
薬の名前 | 1日量 | 薬の種類 |
---|---|---|
ノリトレン | 100mg | 抗うつ薬 |
2週間後の受診
意欲低下は一時的なものであったようで、特に気になる症状は何もなくなりました。
また、ノリトレン100mgでは、やはり自分には少し強すぎる感覚があったので、もとの75mgに戻しました。
自分には、75mgが適量だとわかりました。
薬の名前 | 1日量 | 薬の種類 |
---|---|---|
ノリトレン | 75mg | 抗うつ薬 |
この頃は、ほぼ「寛解」の状態でしたが、今後は、この量で「回復」をめざすことになり、通院の間隔も1ヶ月に1度となりました。
寛解が、半年前後続いた時は、「回復」といいます。服薬の有無は問いません。
ただ、寛解して、その後に、回復に至って、それから5年以上も再発しなければ、それはもう「完治」したといえると思うよ。
うつ病からの回復
寛解後も、ある程度は薬物療法を続けたほうが、再発を防ぎやすくなるんだよ。
ノリトレンの減薬を開始する
薬の名前 | 1日量 | 薬の種類 |
---|---|---|
ノリトレン | 75mg | 抗うつ薬 |
平成23年2月
年が明け、万全の状態にて、いよいよノリトレンの減薬を開始します。
3週間後の再診
離脱症状やうつ病の症状は特に出なかったので、このまま減量を続けます。
今後は、1ヶ月ごとに10mgずつ減らすことにしました。
薬に限らず、タバコやアルコール、カフェインなどでも離脱症状があります。
うつ病治療の終了
抗うつ剤の減量は、もう少し早いペースで行うことも可能ですが、私の場合は、より慎重に月10mgずつ行い、結果的には、平成23年7月の診察で薬は完全になくなり、長かった定期診察もこれが最後となりました。
減量中は、特別大きな波は無く、順調に減薬ができました。ノリトレンの減量を開始してから5か月かかりました。
うつ病の完治!
最後の受診から、もう10年以上たちました。
はじめはうつ病だと思っても、その後の経過で「そううつ病」だった、ということもあるため、自分のテンションについては、ある程度注意を払っていましたが、そう状態になることはありませんでした。
また、うつ病の再発もありません。
うつ病は、完治したといえます。
長かったうつ病治療ですが、うつ病はすっきり治るのです。
ところで、お姉ちゃんとかはどうなったの?
兄のうつも比較的短期間で良くなったんだ。
みんな良くなって良かったね。
人生はいろんなことがあるけど、たとえ今が悪くても、それは今という限られた時にそうであって、未来はどうなるかわからない。同じように悪いままかもしれないけど、良くなるかもしれない。
それは誰にもわからない。
まとめ
主な経過
年 | 月 | 出来事 |
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平成21年 | 9月上旬 | 吐き気の症状がでて、内科を受診 |
平成21年 | 9月中旬 | 精神症状も現れ、心療内科を受診 |
平成21年 | 9月下旬 | この日から合計4種類の抗うつ剤を試すが、改善しない |
平成21年 | 12月上旬 | 休職を開始 |
平成22年 | 2月上旬 | 5種類目の抗うつ剤「ノリトレン」で、改善 |
平成22年 | 2月中旬 | 眠剤の減薬を開始 |
平成22年 | 3月中旬 | 眠剤の処方がなくなる |
平成22年 | 3月下旬 | 仕事に復帰する |
平成23年 | 2月頃 | ノリトレンの減薬を開始 |
平成23年 | 7月頃 | ノリトレンがなくなり治療終了 |
令和3年 | 1月現在 | 今の所、再発なし |
自分はうつ病が一生治らないと思う時もありました。今思うと、それもうつ病のひとつの症状であったと思います。
すべての病気が治るとは言えませんが、うつ病になって、時にはもう治らないと悲観的になって、でも治った人がいる、というその事実を知って欲しいと思います。