前回の「その不調感は、実はうつ病の初期症状かもしれない?そのままにしていると…。」の続きです。
① 勝手に薬を調整しない
Aさんは、2週間後の定期診察で、抗うつ薬の量が増えました。そして次の診察時にもまた抗うつ薬が増えていきます。
Aさんは、どんどん増える薬が心配になり、薬をのむ量を半分にしてみました。
次の定期診察でAさんは、ぜんぜん良くならないと医師に話しました。すると先生は「薬の飲み忘れはないですか?」と尋ねます。
そこでAさんは、薬の量を減らして飲んでいることを話しました。
だけど、単純に少なく飲めば良いというものじゃないんだよ。
薬によっては、急に少なくしたことで、重大な副作用が出ることもあるんだ。
でも薬がふえると不安だなー。
Aさんに合った、薬の種類や量を見つける最中なんだ。
だから、勝手に量を調整してしまっては、Aさんに合ったものを見つけられなくなってしまうんだ。
- 自分に合ったものをのむ
- 十分な量をのむ
- 十分な期間のむ
先生は、薬の量をはじめから一気に多くすると、副作用が強く出てしまうから、少しずつ増やしていくことを説明し、Aさんは、この日からしっかりと服用するようになりました。
薬を飲み始めてから1ヶ月がたちました。しかし、あまり良くなった実感がありません。
でももう仕事の休みも終わり、明日からはお店に出ないといけません。
次の日、朝は気分が悪いですが、夕方になると比較的、朝よりは良いので、重い体をおしてお店に向かいます。
しかしやっぱりまだ本調子ではありません。お客さんからのオーダーも頭に入らず、ミスばかりしてしまいます。
② 絶対に自殺をしない
先に家に帰ったAさんは、早くに子供を寝かしつけて、何時間も一人で考え込んでしまいました。
お店では役に立たず、家事もろくにできない、こんな状態では生きていても仕方がないと感じ、気が付くと無意識に包丁を握っていました。
そこに夫が帰宅します。「なにやってるんだ!」。
間一髪で正気を取り戻したAさん。
翌朝、夫とともに臨時で診察を受け、ひとまず入院することになりました。
旦那さんがいてよかった。
自殺の恐れがある時だけじゃなく、食事ができず衰弱している時や家では休息できる環境を作れない時なども入院の適応になるね。
また、入院は医師の距離が近くなるので、薬の調整もしやすくなるよ。
③ 調子にのって動きすぎない
ある日のこと、調子が良いのでAさんはお店に行きました。途中、疲れを感じましたが、なんとか押し切って前のように働きました。
しかし翌日、朝から気分が重く何もする気がしません。一気に一番悪かったころに戻ってしまった感じです。
その後、小さな病状の波はありましたが、十分に休息をとることを心がけ、それと比例するように、Aさんの症状も回復に向かいます。
うつ病からの回復期
Aさんは、もうほとんど症状がなくなり、病気になる前の気分に近いと感じていました。医師からも「少しずつできることを増やしていきましょう」と言われています。
しかし、うつ病は再発しやすい病気なので、しばらくの間は、予防的に薬を飲み続けることになりました。
再発した場合には、それが治っても次にうつ病になる確率は7割以上、その後は9割以上と、再発を繰り返すにつれて、その確率も高くなる傾向があります。
そのため、一番初めのうつ病の時に、しっかりときれいに治してしまうことが大切になります。
まとめ
しかし上記の経過から、うつ病の具体的な症状や服薬の重要性等が理解できると思います。小さな事でも自己判断せず、医師等の判断をあおぐことが大切です。